クレマチスは雪割草・クリスマスローズ・アネモネ・フクジュソウなどと同じ仲間でキンポウゲ科クレマチス属に入ります。つる性(一部木立ち性)の植物です。
クレマチス(Clematis)の名はギリシャ語のKlema(巻きひげ、つる)から由来して学名がつけられました。
原種の数は300種類とも言われ、世界中に分布しています。
主に北半球に分布していますが、中国が最も多く100種類はあると言われています。日本でもハンショウヅル、高野ハンショウヅル、白ハンショウヅル、タカネハンショウヅル、ミヤマハンショウヅル、カザグルマ、クサボタン、ボタンヅル、白花ハンショウヅル、仙人草などが自生しています。
19世紀の初期、植物ハンターのシーボルトによって日本の原種”カザグルマ”や中国の原種”テッセン”などがヨーロッパに渡り、種間交雑により数多くの園芸品種が作出されました。
日本では江戸時代にカザグルマやテッセンが栽培されていました。
明治の終わりごろから、バラの種苗会社などの手によってヨーロッパなどで品種改良された品種が逆輸入されてきました。日本で世界第二次世界大戦後、栽培され普及し始めました。また品種改良も行われ白王冠、藤娘、江戸紫、柿生などが誕生しました。
20世紀後半から21世紀初めにかけ個人育種家によって盛んに品種改良なされ、世界的にも有名な品種が続々誕生しました。
日本でもガーデニングブームにより10年前から花屋さんの店頭でも見かけるようになりました。
変化に富んだ花形、花色が増え、今日では多用途に使えるようになり、大変人気があります。
しかし、品種が増え栽培管理が難しく感じる方も多いと思いますので、系統別の特性や管理方法について分かりやすく説明いたします。
今までは原種に基づいて分類されていましたが属間における絶え間ない交配により色々な系統の血が混ざり合い、系統間にあった境界線があいまいになり、グループ分け事態が困難になってきました。RHS(英国王立園芸協会)発行の「クレマチスの登録と一覧表」を参考に分類します。
原産はヒマラヤから中国にかけて標高2,000~3,000mの山間部に自生しています。
4~5月、古枝にたくさんの小花をつけます。
一季咲き性ですが、時にはシーズン遅く本年度生長したシュートの基部にも開花することもあります。
最盛期には株全体が花で覆いつくされるほどとなり、香りがよい品種が多いのも特長です。
年数が経つにつれて株が茂り見事になりますので、アーチ、パーゴラ、窓辺のトレリスや立木に絡ませ、庭に飾りたいクレマチスのひとつです。
高山性の性質のため、夏の暑さに弱く、関東以西の太平洋側では北側の水はけの良い土壌に植えつけます。
テキセンシスに大輪系の代表的な品種のいずれかを交配させたものに由来する系統。
花は今年伸びたつるに6月頃から初秋に開花。花は一重でチューリップ形からベル形をしており、上向きか下向きに開花。耐暑性・耐寒性に強く、日当たりの良い場所を好みます。
花径1~10cmで萼片は4~6枚。
やや花弁は厚め。冬には地上部が枯れ、庭もすっきりします。
木立ち性または半つる性。花は初夏から初秋に今年伸びたつるに開花。
四季性が強く、可憐な花がたくさん咲きます。
鉢植え、庭植え、切り花で楽しめ、ボーダーガーデンとして見栄えがします。
冬に地上部が枯れて、冬の庭もすっきり。
翌年地面から新しいつるを伸ばし、丈夫で扱いやすい系統です。
南欧からアジア南西部にかけて自生。
花は今年伸びたつるに、小さめの花を上向き・横向き・下向きに咲かせます。開花期が長く、多花性で、花後の剪定により秋まで花を楽しめます。
一重咲きのがく片は4~6枚。
丈夫で花つきが良く立体空間を飾るのに適し、初心者の方にもおすすめの系統です。
アルピナ、マクロペタラ、コリアーナ、チサネンシスなどに属するか由来する園芸品種。
春、古枝に花をつける旧枝咲き品種。
その年に生育したシュートの先端にも単輪で開花します。
花は一重か八重で下向き咲きの菊咲きのベル形。
アルピナ、マクロペタラは日本では夏の暑さに弱く、東北・北海道地方などの冷涼な気候を好みます。寒冷地向き
クリスパ、フスカ、ピッチャリ、レテキュラータ、テクセンシス、ヴィオルナなどそれに由来する栽培品種。
今年伸びたつるに春遅くから秋にかけて開花します。
花はつぼ形、ベル形で花径1.5~5cm。耐暑性・耐寒性に富み日当たり良い場所を好みます。
冬地上部が枯れます。年々花数が増え、つるもよく伸びます。
深まりゆく秋の庭に彩りを添える冬咲き品種。
花は小輪で下向き咲き、晩秋から初春にかけて前年に生長した茎につきます。
10月~3月にかけて、コンテナ、ハンギングバスケットなどで楽しめます。
シルホサ系は夏に葉を落として休眠しますが、秋には古づるに葉と花芽がつきます。寒冷地では防寒が必要。
春一番、まだ寒さを感じる頃、他の植物に先駆けて庭で甘い香りを漂わせ、春を告げます。アーマンディのつるは古くなるので、絡ませるのに丈夫な補助を必要とします。前年に生長した茎の葉腋に開花します。花径4~7cm、萼片は4~6枚で白かピンク色。葉は常緑でどちらかというと革質で厚みがあります。寒冷地では防寒が必要です。
6~9月に今年伸びた茎に開花。
直立性又はつる性の茎を持ち、耐寒性、耐暑性が強く、丈夫で日本の気候によく合います。ボーダーガーデンなどのナチュラルな庭作りに適します。
花は本年度生長部に夏から初秋にかけて開花。
真夏に一時花を休みますが、涼しくなると再び花を付けます。根が細いので水はけの良い場所や用土を好みます。生育旺盛なので庭植え向きです。
ニュージーランドとオーストラリア原産の原種に属するか由来する園芸品種。
常緑木本性潅木あるいはつる植物。花は晩冬から春にかけて前年生長した茎と本年度生長した茎に開花。花は雌雄異花で、雄株と雌株に分かれます。萼片は4~8枚で白から緑がかった黄色。
夏、今年伸びたつるに開花。花径2~4cm。
通常芳香があり、大きな円錐花序になります。萼片は4~6枚で白、クリーム、青あるいは紫色の小花を群れて咲かせるのが特長です。
今年伸びたつるに夏から秋に開花。通常一重で花径5~6cmの上向き咲きます。萼片は4~6枚で白から淡黄色。
日本にも北海道から沖縄にかけてカザグルマ・ハンショウヅル・仙人草など多くの原種が自生しています。
園芸品種にはない自然が創造した野趣的な表情をお楽しみ下さい。
キンポウゲ科の宿根草クレマチスは世界各地に原種が分布しています。
各地の山野に自生するものは、様々な花形や咲き方があり、それぞれに趣深いものがあります。自生している地域の気象条件に似ている場所であれば丈夫で育てやすいことも魅力の一つです。
4~5月に前年度生長部に花をつけ、剪定と施肥により秋まで今年生育部に開花します。二番花以降は側枝に花を付けるタイプもあります。
花は一重、半八重あるいは八重咲きで上向きに開花。
八重咲きの品種は、豪華で優美さを漂わせ、花持ちに優れています。
トレリス、フェンス、生け垣など目線の高さまでの空間を飾るのに適しています。
6月頃と秋、今年度生長部に開花します。花は上向き・横向き・下向きに開花。
つるの伸びがよく多花性品種が多いのでアーチ、パーゴラ、などの高い空間を飾るのに適します。
以前のラヌギノーサ系とジャックマニー系を含みます。
一番花は4~5月に前年度伸びたつるに花をつけ、2番花以降は剪定と施肥により伸びた新梢に開花します。
花は株の状態により一重、半八重あるいは八重で上向きに開花します。
豪華で優美さを漂わせ、花持ちに優れています。 コンテナ、庭植え、切り花に向きます。